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心を潤す小さな集まりについて|ネイサン・ウィリアムス「The Kinfolk Table」

2017/09/07

カテゴリ: Makotoのオフィシャルブログ, ヨガを感じる本を読む, 言葉からのインスピレーション

「私達が訪ねた方々のおかげで、『もてなしの心』にはさまざまな形があるという、
私の考えは間違っていなかったということを確信しました。
もてなしとは、手の込んだ盛大なパーティでもあれば、静かで、私的で、控えめなものでもあるのです。
入念な準備をして過ごす完璧な夜もあれば、思いつきで友人と協力しながら過ごす、
完璧とはほど遠い素敵な夜もあるのです。」

ネイサン・ウィリアムス KINFOLK創設者、編集長

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小さな屋根裏の様な部屋に暮らしはじめて4回目の夏を迎えました。丁度引っ越したのも夏の終わりごろ。いまの部屋に決めた理由のひとつが、寝室からつながる小さなルーフバルコニーがあること、そしてそこからの景色が圧倒的に美しかったからです。その頃、僕が好きだった「KINFORK」という雑誌に影響を受けて自宅に大切な人を招き、シンプルで簡単に作れる料理をふるまい、共に味わうことをしようと思いたちました。引っ越しの作業が済み落ち着いた時には、季節はもうすでに秋の気配を感じはじめる頃になっていて、涼しい風が吹く中ではじめての「小さな集まり」を行いました。限られた空間なので招きいれるゲストは3名まで。グリーンカレーや春雨のサラダを作り、普段お世話になっている大切な人たちと楽しく食卓を囲んだことを懐かしく思い出します。この充実した時間を味わう為に頻繁に「小さな集まり」を開こうと思いましたが、慌ただしい日常や東京を離れることの多いワークスタイルの為、引っ越し当初以外は友人を自宅に招くということは出来ずにいました。実際には忙しさにかまけていたというよりも、「もっと手の込んだ料理を作ろう」とか「部屋をぴかぴかに掃除しなくては」などと「小さな集まり」に完璧さを求めていたことがプレッシャーとなり自宅に人を招くということから遠のいていたのだと思います。

米国オレゴン州ポートランドで生まれた「KINFOLK」は創設者で編集長でもあるネイサン・ウィリアムスを中心に、写真家、作家、イラストレーター、デザイナー達がチームを組んで食事や旅、アートや音楽、ファッションなど生活や人生にまつわることを美しい写真や文章でつづる全く新しいライフスタイル誌です。「KINFOLK」という言葉の意味は家族や親しい者という意味の「KINSFOLK」という単語が古めかしい響きなので、モダンにする為に「S」を抜き取った造語とのこと。「Discovering new things to cook, make and do(小さくて新しい発見の日々を送る)」、「Small gathering(小さな集まり)」をコンセプトにありふれた日常に繊細な意識を向けることで生活を充実させ人生をより良くしていくことを探求していくことを提案しています。そんな新しい雑誌がまとめた料理に関するヴィジュアルブックが今回ご紹介する「THE KINFOLK TEBLE」です。僕は料理のレシピ本が好きで、本屋さんに行くとついつい買ってしまうのですが、この本はおしゃれなレシピ集とは違います。

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全部で85のレシピからなるこの本はネイサン・ウィリアムスと「KINFOLK」のメンバーが世界の街を旅してまわり、異なる国に住む異なるバックグラウンドを持った彼らの友人の家々を訪ねて、作った料理を共に食べて取材するという形式でつくられています。
レシピの内容は簡潔で一人や二人で食べる朝食やランチ、夜食に適したメニューや複数の仲間と共にするディナー。どの料理もシンプルだけれどもおいしそうで作ってみたくなります。そしてその土地やその人のもつ文化を垣間見ることができることもこの本の大きな魅力です。

レシピを提供した人たちの職業も様々です。
バリスタ、編集者、ライター、ブロガー、デザイナー、写真家、花屋、陶芸家、農家、料理人など、彼らの生活の様子やキャリアをレシピと共に知ることが出来きます。年代もばらばらな面々は、一人暮らしの人もいればカップルや家族で暮らしている人もいて、一見共通点が無いようにみえますが、バランスが取れた暮らし、食べ物に感謝すること、そして友人を招待することなど彼らは「KINFOLK」が提案しているシンプルなライフスタイルを実践しているという共通項があるのです。大切な人と共に食事をするというささやかな喜びを見出すことが、仕事のキャリアと同じくらい大切だと知っている人々です。様々な職業の彼らが仕事で創造性を発揮し、成功を収めることが出来たのは、地に足をつけ、日々の生活に美しさや意味を見出すことを生きる活力にすることが出来ているからだとネイサン・ウィリアムスは言います。

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現在、シンプルなライフスタイルはひとつのトレンドであり、大きな商業ビルにいくと上質な日用品を集めたセレクトショップが軒をつらねていますし、アパレルショップ内にも高価な洗剤や食器、調味料などを売っているコーナーがあり、人気を得ているようです。人々の興味が「上質な日常生活」ということに向いているようですが、「KINFOLK」の目的はもてなすということを複雑にした商業的な覆いを外すこと、そして気軽で意図的で意味のある新しいもてなしの形を提案することであると言います。料理を作り、人に差し出すことや共に料理をつくること、そして食事を共にすること、それらに含まれる会話、味覚、印象などはコミュニケーションであると思います。愛上表現ともいえるそのコミニュニケーションが商業的な消費行為に陥らない様に気を付けたいです。

「KINFOLK」で提案する理想の暮らしとは、「丁寧に暮らす。身の回りにあるモノを大切にし、身の回りにある自然を愛おしむ。ここにある『いま』をないがしろにしない。」ことであると言います。いつの時代も生活や人生に真摯に取り組む人は簡素で『いま』を大切にすることが出来るのでしょう。

今週末は久しぶりのお休みを東京で過ごすことができそうです。4年ぶりに大切な人たちを自宅に招き、小さなバルコニーで僕の作った料理を一緒に味わいたいと思います。その「小さな集まり」のなかで「一緒の時間を過ごすこと」、「楽しい会話をすること」を目的に自然体でもてなすことが出来たならゲストや僕の心が潤いで満たされることでしょう。

The Kinfolk Table」ネイサン・ウィリアムス(著) KINFOLK

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