Makotoのオフィシャルブログ

生命力を高める知識(アーユルヴェーダ)の実践|服部 みれい「私が輝くオージャスの秘密」

2017/03/09

カテゴリ: Makotoのオフィシャルブログ, ヨガを感じる本を読む, 言葉からのインスピレーション

「全体として調和がとれたときに、人はもっともよい状態で、幸福であり、健康であり、魅力的になれる。」
服部 みれい 文筆家 詩人

「アーユルヴェーダ」という言葉を初めて耳にしたのは、ヨガの指導者養成コースを受講している時だったように思います。今の日本ではエステやマッサージなど主に美容法と認識されていることが多いですが、実はアーユルヴェーダとはインドの伝承医学であり、民間療法や代替医療などではなく、独自のシステムを持つ医療体系なのです。

アーユルヴェーダの語源は、インド太古の言語であるサンスクリット語のアーユス(生命)という言葉とヴェーダ(知識)というふたつの言葉からなっています。ヴェーダとは、約5000年以上前のインドにて様々な賢者や聖人達が神から受けたインスピレーションをもとに編纂した、世界最古の書物と言われています。その知識が僕たちの元に降りてきたのは、僕たちの望みや願望を叶えるためであるとされているのです。その脈々と受け継がれてきた伝統からヨガというものが発生し、またアーユルヴェーダとして発展していきました。両方ともヴェーダという知識の源に基づいた実践的な科学であるとされています。よってヨガとアーユルヴェーダは発祥の原典が同じことから、姉妹科学と呼ばれているのですね。

image1

僕がヨガを学び始めた頃、必然的にアーユルヴェーダにも興味を持ちました。アーユルヴェーダに関する入門的な本を買って読んでみたのですが、「これは一体何なのか?よくわからない。」というのがアーユルヴェーダに対するはじめての印象でした。きっと多くの人にとってもアーユルヴェーダという伝統的な医学体系の全体像はなかなかつかめないのではないでしょうか。

そんな悶々とした頃に「わたしが輝くオージャスの秘密」という本に出会っていたらアーユルヴェーダに対する理解がもっと深まっていたのかなと思います。

この本の著者である服部みれいさんは、「新時代を生きぬく知恵」をテーマに様々な角度から情報を発信している文筆家です。幅広くそして奥深いアーユルヴェーダの世界観を「オージャス」というキーワードから優しく紐解いています。そしてなにより、分かりやすくて、とても実践的な内容です。

この書籍の中で「オージャス」とは人生に関わる生命エネルギーとしています。アーユルヴェーダの文脈からその生命エネルギーの増やし方や減らさないようにするための方法が、食事のとり方や生活の仕方に及んで紹介されています。

アーユルヴェーダで考える生命とは単に肉体のみを指すのではなくて、心、身体、五感、魂の複合体を指します。つまりアーユルヴェーダでは全体的に僕たちの存在を捉えていて、決して部分ではとらえていないのです。今、ホリスティック(全体的、包括的)という言葉がひとつのブームとしてありますが、アーユルヴェーダでは、はじめから全体的にみることの重要さを説いていたのです。

image3

アーユルヴェーダのテーマは、有益なライフスタイルと無益なライフスタイル、幸福なライフスタイルと不幸なライフスタイル、人にとって有益なことと無益なこと、人生の長さについて考察することであると定義されています。

アーユルヴェーダでは病気にならないように人々の生活指導に力を入れています。つまり太古から予防医学に力を入れていて、ヨガや呼吸法などを治療の大きなサイクルの中に取り入れるなど統合医療の先駆けでもあったのですね。ヨガ同様アーユルヴェーダも「いかに生きるのか?」を問う普遍的で実践的な哲学なのだと、服部みれいさんの作品を通じて改めて痛感しました。アーユルヴェーダとは医学として病気の治療や予防を行う以前に、本質的な幸福を追求するためのライフスタイルなのです。

では、アーユルヴェーダで考える不調や病気の原因とは何なのでしょうか。

アイアンガーヨガの創設者であるB.K.S.アイアンガー先生は、人々の病気の要因をヨガとアーユルヴェーダの観点から以下のように述べられています。

「ヨガによれば病気の原因は、心の動揺である。一方アーユルヴェーダでは病気は身体の構成要素のアンバランスに起因している。」
B.K.S.アイアンガー 「ヨーガの樹」 2015年 サンガ

image4

ヨガは心理的、精神的な方法で心を鎮め、おさめることをしていき、アーユルヴェーダでは身体的、生理的な方法で心と身体を整えることをしていきます。

不調や病気の原因となる身体の構成要素のアンバランスとはどのようなことなのでしょうか。アーユルヴェーダでは、私たちにそれぞれ特定の三つのエネルギー(トリドーシャ)があり、生まれながらに持ち、一生変わらない三つのエネルギー(プラクリティ)とその三つのエネルギーが生活や環境によって変化した質(ヴィクリティ)があるとされています。このエネルギーのアンバランスや特定のエネルギーが過剰に増悪することが身体の構成要素のバランスを崩していきます。アーユルヴェーダでは身体を構成する要素を7つの体組織(サプタダートゥー)として以下のように表しています。

1血漿(けっしょう・ラサ)、2血液(ラクタ)、3筋肉(マンサ)、4脂肪(メーダ)、
5骨(アスティ)、6骨髄(マッジャ)、7生殖組織(シュクラ)

これら七つの組織に十分に滋養が行き届かずに各組織が機能しないことが、不調や病気を引き起こします。

食物が体内に入り消化されることで血漿ができ血液となり、血液が筋肉にいきわたり脂肪が形成され骨となり、骨から骨髄が作られて生殖組織となります。この過程では都度、養分が消化されて、老廃物(マラ)が作られ排出されます。この流れがスムーズで各組織がうるおい、きちんと働いていれば、最終的にオージャスとなって僕たちの心と身体に現われます。

アーユルヴェーダでは消化力(アグニ)をとても重要視しています。いかに体内に(心にも)毒素(アーマ)をためずに排出できるかが大切なのです。よって、体質や食材、調理法、食べ方によって、より消化力が高まるベストな方法を選択します。そして日常の日課(ディナチャリア)として瞑想、舌を専用の器具でみがく、セサミオイルでのうがい、オイルでの体や頭のマッサージなどを行い、身体と心から毒素を排出して免疫力が高まるようにと五感のケアを怠りません。そして心身の健康や若返りを保つための行動の指針や心の在り方もアーユルヴェーダはヨガと同様に明確です。

image5

僕たちの健康を脅かし不調や病のもととなる身体と心のアーマ(毒素)の蓄積は、五感が間違った対象物と出会い、知性の使い方を誤ってしまうことが引き金となってしまうのです。消化力(アグニ)を高めて、効果的に毒素(アーマ)を排出する。そうすることで僕たちのエネルギー(ドーシャ)のバランスが整い、七つの体組織(サプタダートゥー)に滋養が行き渡り、十分に機能することで僕たちが内側から輝く「オージャス」を手に入れることができます。服部みれいさんの本には「オージャス」を増やすことは誰にでもできる、すぐに始められると記されていました。ヨガの練習と共に「オージャス」を増やす習慣をはじめてみましょう。

服部 みれい「私が輝くオージャスの秘密」2015年 ちくま文庫

※ヨガヨムに寄稿しています。

ページ上部へ戻る